Lamento -BEYOND THE VOID-

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Lamento -BEYOND THE VOID-

久しぶりに、ものすごく唐突にまたやりたくなって再プレイ。
以前もやったんだけどね、コレ。

ただしwin7の時に買ったDVDでは起動できず、結局win10対応版を買い直すハメになった(^_^;)
でもいいんだ、そのくらい大好きなゲームだから。

攻略だの何だのは、いくらでも載せてくれてるサイトさんがあるので、
ここでは感想(ネタばれアリアリ)だけ。
(私も随分、そういうサイトさんにお世話になった。すごくありがたい(^.^))

このゲームは言わずとしれたBLゲー。
なので、BLが苦手な人には向かないし、エロやグロが苦手な人にもきっと向かない。
かなりきつい描写もあるしね(^_^;)
あと、長編小説とか長編の映画とかが苦手な人もきついと思う。
とにかく長いので。とんでもなく長いので。

逆に、大ボリュームのシナリオ大好きって人はこれなら満足できるんじゃないだろうか?
私は普通の長さのシナリオのゲームだと、全く満足できないタチだ。
短い長さのゲームで恋愛要素入ってると、プレイヤーおいてけぼりでいつの間にかくっつくし。

このゲームでとても秀逸だな、と思うのは、とにかく心理描写が丁寧なこと。
主人公がなぜ、相手に惹かれたのか共感ができる。
もちろん、プレイヤー的に好みではない相手もいるけれどそれでも理解はできる。
一人の人間(このゲームでは猫、という種族だけど)が、一人の人間に惹かれ、
相手も主人公に惹かれ、そしてお互いの想いが通じる過程の描写が本当に素晴らしい。

何よりいいのは、実に上手い具合にBL要素や猫要素があることだ。

最初は猫耳のキャラクターと知って、男性向けで量産されてるような、
猫耳つけただけのエロに偏った単純なゲームかと思った。
でもどうやら違うらしいと知って、プレイしてみたらこれがドハマリした。
これは猫耳キャラではなく、猫だ。猫という種族の物語だ。
耳や尻尾は飾りじゃなく、ちゃんと身体の一部だ。

色んな乙女ゲームとかBLゲームとかやってきたけど
どうしても苦手なのは、主人公が守られキャラなヤツだ。
理由もなくちやほやされたり、主人公はなにもできない女の子だったり。
周りをイケメンに仕立てる手法かもしれないけど
そういうのって、プレイヤーとしては実に歯がゆいものがある。

その点BLゲームは、主人公はただの守られキャラではないし、
ちゃんと敵と互角に戦ったり、自分の意見の主張もする。
しっかりとした自分の考えを持っていて、ずるずると流されるようなことはないし、
わざとドジを踏んだりもしなければ、女性キャラが主人公でありがちな
巨乳とかミニスカみたいなあざとい性的アピールもない。

ただ単純に一人の人間としてのストーリーが見たいのに、女性主人公になると、
途端にエロ要素やドジ要素、守られ要素を詰め込まれるのに本当に嫌気がさす。

いや、私は決してエロ要素が苦手なのではない。
(男同士のカップリングが特別好きなワケでもない)
むしろストーリー上、あるハズのエロがないのは不自然で嫌だ。
それは暴力要素も同じ。
清廉潔白なイイ子すぎるストーリーなんて、面白くもなんともない。

ものすごく世界観に合ってるゲームの背景画像。とても美しくて、ずっと見てても見飽きない。

このゲームの主人公はコノエという一人の雄猫。
トップ画像のキャラがそれだ。
剣の腕前はなかなかだし、いざとなれば爪や牙でも戦える。
世界観は、中世的なダークファンタジー。
魔術や悪魔も登場するし、生贄なんていう物騒な風習もある。

ゲームを開始してすぐに、世界は虚ろというものに侵されつつあり終焉に向かっている、
というのが分かる。
猫達は、少しづつ周囲の自然の草木や小動物を触ることができなくなり、
そのせいで食べ物は非常に入手し辛くなり、失躯という奇病のせいで雌は激減し、
それに伴って愛や恋などというものは影を潜め、やがて同胞を贄にして飢えをしのぐ日々…。

もうしょっぱなから重い。とんでもなく重い。
(そういうの、大好物だけどね(≧▽≦))

主人公が、主人公としてのストーリーを始める前から
脇役達がとても重いストーリーを作り上げてくれたりもする。
生贄になる者と、それを見送る恋人、とか。

そういう重さと、後は、主人公や攻略相手の生い立ちの重さ。
これもそれぞれ実にむちゃくちゃ重い。
100%不可抗力的な、どうしようもない重暗さ。
そこには生まれや育ちがどうであれ、明るく強く生きていかなきゃ、
なんていうキレイごとは一切ない。

攻略相手の一人であるライは、小さい頃に親の愛情をまったく感じられずに育ち、
その温もりを生き物の血に求めるようになった。
その狂気はだんだん大きくなってきて、本人の正気を食い破ろうとしている。

別の攻略相手であるアサトは、両親が禁断の関係を持ったせいで生まれたので
村で禁忌の子として忌み嫌われたり、殺されかけたりしてずっと怯えて生きてきた挙句、
いつか必ず魔物に成り果てるという、相当に過酷な運命。

3人目の攻略相手であるバルドは…まぁ、この猫は自業自得というか…。
力が欲しいという自分の欲望を、他人のためだとか言って悪魔召喚して叶えようとしたりして、
言い訳して生きてるダメ親父だけどね…(^_^;)
他のキャラと違って、内面の醜さみたいなものを引っ張り出されるという点では、
一番きれい事ではないかも…。

個人的に親父キャラはまったく好みではないので、実は嫌々プレイしたという…(^_^;)
(恋愛的な絡みでは、歳の離れた年上キャラはかなり苦手)

バルドのストーリーは、正直なところあまり好みではなかったけど
ラスボスとのバトルでのライとの共闘は燃えた。
ライとバルドは、敵同士かってくらい仲が悪かったので、そこは本当に感無量だった。
世界が平和になった後の、キャラクターみんなが割と仲良くやっていけてる感は、
このルートでしか味わえないしね。

アサトのストーリーは、もうなんというか、本当に本当に過酷すぎた。
かつてこんなに過酷な運命背負わされたキャラクターがいただろうかってくらい。
アサトはとても純粋で、一心にコノエを慕っていて。
でも想うが故に、いつか魔物になってコノエを食い殺してしまうのを恐れている。
最初はアサトの中の魔物を恐れたコノエも、アサトの想いに触れ、
自分の気持ちが変化していき、アサトがどんな姿でも側にいたいと思うようになる。

過酷なのは二人の運命だけでなくて、魔物のアサトによってコノエの右腕が切断されかかり、
痛すぎて邪魔だからってコノエが自分で切り落としてしまうとか…。
(プレイしてるこっちが痛いよ(^_^;))

ラスボス撃破後の、魔物姿のアサトが死にそうだった時に
思わず抱きしめていたコノエの気持ちが痛いほど分かったし、
アサトが元の猫の姿に戻ってコノエの名を呼んだ時は、むちゃくちゃ感動した。

二人で、アサトの故郷に戻って村長と対峙したシーンは、心から「本当に良かったね」と思った。

ライのルートは、事実上のメインストーリーだろう。
一番CG多いし、『闘牙と賛牙の絆』という、このゲームのメイン要素を最も味わえる。
それと、互いを想い合うまでの心理描写が一番細やかだ。

その想い、というのも恋とか愛とかいう単純なモノじゃなくて
いつかライが正気を失う時が来たら、ライが他の猫を殺す前に自分が必ずライを殺す、
という約束で結ばれる関係(絶対にその役目は他の猫に譲らない、と)。
魂で繋がるとはこういうことか、と思えるような。

そのシーンでは、私は思わず息を止めて見入ってしまった。あまりに神聖で美しくて。

そして、その約束が果たされた時は…切なかった。ただひたすらに切なかった。
ここまで相手を求め、そして求められるのならば、それはもう唯一無二だ。
魂だけになってしまったって、二度と離れたりしないだろう。

彼らはラスボス撃破後に、賞金稼ぎのコンビとして生きているけど
そこにはただの闘牙と賛牙ではなく、揺るぎない絆を築いた姿が見える。

メインの舞台である祇沙(しさ)の街。

ただし、どのルートであっても、コノエの残りの寿命はそれほど長くはない、という…。
せっかく想いが通じ合った相手と、これからずっと一緒にいられるようになったのに
その時間がわずかしか残ってないとか、どんな罰ゲームなんだ(^_^;)

そもそも主人公も相当過酷な運命背負って生まれて過ごしてきているし
攻略対象キャラに会うまでにも、プレイしてるこっちが寿命削られそうな
きっつい道のり歩いてて(常に追われて殺されかけて)、
ルートに入ったらさらにきつくなるんだもんなぁ…(^_^;)
エロシーンで喘いでるより、苦痛に悶えてるシーンの方が圧倒的に多いくらいだ(^_^;)

蛇が4匹も喉を通るとか、私なら発狂するね、確実に。

BADエンドもかなりエグいし。
魔物になったアサトに、嬲られた挙句に生きたまま食われるとか、
悪魔のフラウドが、ライの眼前でわざとコノエを犯すとか(両者精神崩壊待ったなし)。
いや~、フラウドのバッドは本当にえげつなかった(^_^;)
BADエンドと見せかけたエロエンド、みたいなのも多いのに
見てるこっちが精神崩壊しそうなきっついBADなんて早々ないと思う。
この場合のエロ要素とか、食われる恐怖をさらに煽るだけだ(^_^;)

このゲームで秀逸なもう一つの要素が音楽だ。
文句なしに素晴らしいし、最初にゲームをプレイした日からず~っと定期的に聞いてる。
ライとバルドのBADENDでかかるWhen The Endとか、アカペラで歌えるくらい聴いた。
っていうか、BADENDの曲が素晴らしいとか、贅沢すぎだって。
殺し合いENDとか、凄惨な終わりのハズなのに、それも二人の絆なのだと納得できてしまって、
それが切なく美しく感じてしまう。
つくづく音楽の力の凄さを感じる。

その曲以外にも、図書館でかかる神秘的な曲も好きだし、
悲劇的な場面でかかる切ない曲も本当に美しくていい。
絵やストーリーやキャラクターが良くて、さらに音楽がいいなら
それは惹き込まれない方が無理だ(≧▽≦)

当然いいところばかりじゃなくて、ストーリー的に、デウス・エクス・マキナ的な展開があって、
心理描写の細やかさに比べたら、場面運びが少し強引だった点がちょっと残念だったかな。
あと、ラスボスとのバトルのストーリー展開がほぼ同じ、とか。

でも、そんなのは些細なことだ。
私にとっては。

こういう、主人公や他のキャラの幸せを願いたくなって、
何度もその世界に浸りに行きたくなるような、
味があって骨のあるストーリーゲームをもっとやりたいワケだ。
乙女ゲームでもBLゲームでも他の18禁ゲームでもいいから。

というワケで、これから吉原彼岸花、というゲームをやる。
これもなかなか涙腺にきそうなストーリーのようなので楽しみだ(≧▽≦)